主将挨拶

両校主将挨拶

早稲田大学主将

笠井雄太

 早稲田大学柔道部主将の笠井雄太と申します。 まず、この歴史ある大会の開催に際し、多大なるご尽力を賜りましたOB・OGの皆様、大会関係者の皆様、そして審判団の皆様に、部員一同を代表して心より御礼申し上げます。誠にありがとうございます。
 私にとって「早慶戦」は、普段の大会とは一線を画す、特別な緊張と興奮を感じさせる舞台です。この戦いは、試合に出る機会に恵まれなかった部員やトレーナー、サポーターも含め、全ての仲間たちの思いを背負って戦うもの。まさに柔道部の歴史と誇りを懸けた総力戦だと感じています。
 これまで三年間、早慶戦を経験してきましたが、勝敗は常に紙一重であり、一瞬の気の緩みが命取りになることを痛感してきました。実力ある選手が敗れることもあれば、誰もが予想しない場面で強敵を抑えることもある。まさに一瞬が勝負を分ける舞台です。そして、その中で多くの先輩方から、早稲田の誇りをかけて勝利を紡ぐことの魅力と重みを教わってきました。
 その教えを胸に、私たち現役部員はこの一年、「早稲田が勝ち切るための柔道」を徹底的に追求してまいりました。苦しい日々の中でも、それぞれが自分の役割を全うし、一本を「投げ切る」、僅差を「取り切る」練習を重ねてきました。勝負の核心で打ち勝つための集中力と覚悟を磨き抜いてきた自負があります。
  四年生全員でチームを牽引し、仲間の支えと共に、この大舞台での勝利を掴むという強い覚悟で今日を迎えました。畳に上がる選手たちは、この一年の努力のすべて、そして歴代の先輩方が築き上げてきた「勝利の伝統」の重みを胸に、早稲田の威信を懸けて戦いに臨みます。 伝統と継承の場である早慶戦において、私たちは慶應義塾大学の皆様に最大限の敬意を表し、正々堂々、最後まで攻め抜くことを約束します。
 この早慶戦での勝利こそが、これまで多大なるご支援をくださったOB・OGの皆様、そして応援してくださる全ての方々への最大の恩返しであり、私たちの努力の証明です。
 早稲田大学柔道部の誇りを胸に、全員一丸となって、必ず勝利をこの手に掴み取ることを、ここに強く誓います。 皆様には、両校が持てる力をすべてぶつけ合う熱い戦いに、そして早稲田の四連覇に向けた挑戦に、変わらぬご声援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。 ありがとうございました。

慶應義塾大学 主将

井口虎太郎

2025年度慶應義塾體育會柔道部主将の井口虎太郎と申します。 初めに、2025年度早慶対抗柔道戦の開催にあたりまして、両校OB、OGの皆様をはじめご尽力頂いた全ての関係者の方々に、塾柔道部学生を代表して深く御礼申し上げます。
今年も早慶戦が開催され、主将、選手として出場できること改めて大変喜ばしく思います。私が初めて柔道早慶戦を見たのは、大学1年生の時でした。連覇記録を死守したい慶應と、それを止めにかかる早稲田が織りなす死闘は、まさに意地と意地のぶつかり合い。中学生の頃毎日稽古を重ねた講道館の大道場が、今まで感じたことのない衝撃と熱狂に包まれ、語り継がれる「伝統の一戦」が醸成されていくのを肌で感じました。「自分もこの舞台で戦いたい」そう強く願った日から3年、今年のチームと私の柔道人生に区切りをつける時がやってきました。残された大舞台、チーム井口の底力を全て出し切り、宿敵であり友である早稲田に勝って有終の美を飾ります。
これまで3度の早慶戦に携わり、早慶戦が持つ意味を特にこの1年間熟考し続けた結果、私が辿り着いた結論は「チームの真価」と「継承」です。 世界で唯一、講道館の大道場にて行われる20人対20人の勝ち抜き戦が早慶戦。公式戦の団体戦メンバー12名が強いだけでは、圧倒的なポイントゲッターの存在だけでは、勝利を掴めません。大会運営も両校の主務、マネージャーの方々を中心とした綿密な連携の上に、多くの人の協力があって初めて成り立ちます。その様相はまさに塾柔道部という組織そのものの真価が問われる本当の「総力戦」と言えるでしょう。
そして早慶戦で問われる「チームの真価」を構成するのは決して今年1年間の活動だけではありません。常に鮮烈かつ曖昧な文脈の中にだけ、組織の存在を位置付けられるという自覚を持つ必要があります。その重要性を最も痛感したのが今年のチームだと私は思います。 2024年度は血涙を飲む思いに何度も打ち拉がれ、その度に這い上がって来ました。そして終盤には2部大会で優勝し1部リーグ復帰に大手が掛かり、直後の早慶戦では4年生の先輩方が忘れられない勇姿を残してくれました。去年の雪辱、先輩方の勇姿、多くの関係者の期待や想い無しでは早慶戦まで駆け抜けられなかったと断言できます。早慶戦は今年度チームの終焉と同時に来年度チームの始動を意味します。早稲田が良き友であり最も手強い宿敵だからこそ、塾柔道部全員が死力を尽くす事でのみ文脈の「継承」が成され来年度チームの飛躍に繋がる。伝統ある早慶戦、塾柔道部員一同、4年ぶりの勝利を全力で獲りに行きますので、変わらぬご声援賜りますよう御願い申し上げます。